『ヴィンラント・サガ』のみんなの感想は⁈

『ヴィンラント・サガ』のみんなの感想を調べてみました。

『ヴィンラント・サガ』を観たみんなの感想

最初の1~2話を見たあとでこの作品が明らかに特別であるということに気が付きました。バイキングという史実を題材にしているのですが、物語の主眼はそこにはなく、憎しみと愛という人間ならば誰しもが抱く普遍的な主題が根底に流れています。特にその主題を描き出すための人物の感情描写が素晴らしく、父を殺したアシェラッドがトルフィンの目の前で死んでしまう場面には、思わず涙してしまいました。近年のアニメの中では確実に上位に入る傑作です。

主人公・トルフィンの流転とイングランドとデンマークの抗争がこの作品の主なストーリーでしたが残酷なシーンが多くトルフィン自身も純朴な少年から獣のような戦士へと変貌していく様子は見ていてきつい感じがします。トルケルの登場がなければ挫折したかもしれませんが、彼の登場で盛り上がりました。トルフィンとトルケルの対決はこの作品のもっと面白いシーンだったと思います。トルケル部隊に追われる緊張感も見所となりました。アシェラッドときちんと決着を付けられなかったのは残念だ終わり方でしたがこの作品らしかったとも言えます。

『ヴィンラント・サガ』という名前はかっこいいのですが、最近はこうゆう歴史もののみを題材にしたアニメが少なくなってしまったように思いますが、ここまでストイックに歴史とその独特の大河ドラマを観ているような壮大なスケールの世界観における男と男の戦いのみに注視した作品に初めて出会ったような気がしました。賛否両論はあるのかもしれませんがほとんどといっていいほどギャグみたいな笑えるような要素はなくて男性陣ばかりの構成になっているのでかなり硬派な印象が強い内容になっています。

『ヴィンラント・サガ』は主人公のトルフィンより、周囲のキャラにインパクトがありましたね。トルフィンの幼少期って我儘で自己中な子供ですし、大きくなって強くなったとはいえ、短剣を使って倒していくという戦士っぽくない戦い方でスッキリしませんでしたから。逆に父親トールズを殺したアシェラッドやトルケルの方がカッコイイですね。アシェラッドは強いだけでなく、頭の回転がハンパじゃないですし。トルケルは何も考えていないものの、その分圧倒的な強さと豪快な性格がカッコイイ。特にトルケルの無双っぷりには惹かれました。まあトータルとしては面白く、満足出来ました。

アニメ『ヴィンラント・サガ』の魅力は本当にたくさんあります。哲学的・倫理的にも深いテーマを交ぜた濃密なストーリー、一つ一つ背景まで描き込まれた丁寧な作画、適切な間や音楽を使った演出。どれも素晴らしいですがやはり一番の魅力は一人一人のキャラクターがよく作り込まれているところだと思います。各キャラクターにしっかりとした軸があり、明確なプロセスをもって今なぜこうしているのか、今まではこうだったがこれからはこうするんだというようなそれぞれのキャラの価値観や生き方、成長がしっかり伝わってくるところが凄いです。

『ヴィンラント・サガ』は父親を殺された息子が父親殺しの主犯である男を決闘で殺すために彼と行動を共にするという作品ですが、この作品において、父親を殺したアシュラッドという男は非常に頭の切れる人間だということはわかるのですが、彼は土壇場で味方に裏切られたり、やはり人としては何か魅力に欠けた人間だという部分も描いているので、彼の生きざまにある意味非常に人間臭いものを感じます。ただし、彼の命をつけ狙うトールズの子のトルフィンにはほとんど魅力がありません。

奴隷編のアルネイズが死ぬ展開は本当に悲しく何故そうなったのかと考えさせられる話でした。ハッピーエンドを求めてしまう私は、エイナルと結ばれて幸せになっていく展開にしてくれないかなと強く望んだのを覚えています。いつもはふざけているギョロがレイフを助けてくれとトルフィンに懇願するシーン等にも心を打たれます。

『ヴィンラント・サガ』はかなりドロドロとした血なまぐさい、言うなれば大人向けのワンピースというような物語です。シーンは圧巻で、少年トルフィンが父親を失い、リベンジのために父親を殺したアシュラッド率いるデンマーク人の集団に身を置き、正々堂々とアシュラッドの首を狙うのですが、あんなに愛くるしかった少年がボロボロになって子を持つ身としては心が潰れそうになりました。作中で描かれているキリスト教への解釈はとても興味深いものがありました。

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